ノイズ発生のメカニズムやノイズ対策効果について

電子機器にとってノイズ対策は開発時に欠かせない作業になります。しっかりとした対策ができていないと、脆弱な製品となって故障や不具合が発生しやすいものになってしまいます。
ノイズは騒音などに使われる用語ですが、電子機器にも大きな影響を与える要因の一つです。目に見えないものの対策になるので、簡単ではありません。ただしノイズとは何か、発生のメカニズム、種類などを理解して、決まった対策を適用するだけでも効果を期待できます。何もしないよりもノイズ対策をしてあるだけで安全性は大きく変わってきます。

ノイズとは?

ノイズ対策

一般の生活でノイズといえば、騒音になります。音の種類の中で不快なものを指しますが、電子機器においても同じように悪影響を与える電波のことを呼びます。正しく表現しようとすると電子機器で使われている電流や信号などに目的に関係ない成分です。

電子機器に流れる電流や信号は、決まった波形を持っています。電圧などは基本的に一定のレベルで流れています。信号は矩形波やサイン波など目的に合わせて作られたものです。この中に目的とは異なる波が含まれているとどうなるでしょうか。大きなものであれば波形を変えてしまう恐れもあるし、細かなものでも安定しないことで問題になる恐れもあります。

ノイズの影響はSN比と呼ばれるもので示すことが可能です。これは目的の波形の量とノイズの量の比率を示した数値です。この値が大きければ大きいほど、影響は大きくなります。アナログで電気製品を動かしていた時にはあまり問題にならないものでしたが、電子機器になることで流れる電流が小さくなったことからSN比が大きくなって問題が顕著になりました。完全に除去することが難しいノイズですが、このSN比を低く抑えることができれば影響しない状態を維持することが可能です。また他の機器に影響しないように発生させないことも重要と言えます。

ノイズ発生のメカニズムについて

ノイズ対策

テレビやラジオなど電波を利用する機器は古くからあります。これは電気信号を電波として発信し、受信側で受け取って電気信号に変換してスピーカーなどでさらに音やモニターの映像に変換します。これは意図した信号を発信しているので制御可能なものになりますが、意図しない状況で発生するものがノイズと言われる成分となります。

電気製品は、電流が流れることで動かすことができます。電流には、周りに磁場が発生することが避けられません。この磁場がノイズになるため、基本的に電流の流れが発生源といえます。電流を流す目的は、信号や電源と言った電子機器には欠かせないものです。そのため完全に発生を食い止めることは不可能です。電流の大きさをコントロールすることが重要です。

この電流の大きさによって、発生するノイズの大きさは比例します。自然界でも静電気や雷などの空中放電でも発生し、その時の程度はかなり大きなものになります。電源の故障などによってショートした時やスイッチの切り替えで急速に発生する突入電流も同じものです。このような瞬間的に大きな電流が流れることをサージと呼び、特に対策が必要な成分として考えられています。ノイズ対策を行う時には、これらの発生のメカニズムをしっかりと理解することが重要です。

ノイズの主な種類

ノイズ対策

ノイズを発生源でわけると自然と人工の2種類になります。自然はさらに発生する場所で宇宙と大気の2つに分けられます。宇宙とは太陽や惑星などから常に発生される電磁波です。大気は雷や電離層などの影響によるものです。これらのノイズは発生を抑えることができないもので、絶対的な大きさも大きいものでとても厄介です。

人工には発生の状況によって、断続と連続に分けることが可能です。断続とは放電を利用するものから発生するもので、自動車やモーターなどに起きる火花や送電線やオゾン発生器のコロナ、蛍光灯やネオンサインなどの点灯に使われるグローなどがあります。連続にはRF電源の高周波や無線通信に利用されるものやトランジスタ素子やインバーターなどの繰り返しスイッチが入りきりされるようなもの、医療機器などで使われる超音波やMRI、レントゲンなども発生源です。最も高速でノイズを発生させる設備はコンピューターです。

基本的にノイズの種類による大きな違いはありません。そのかわり大きさや発生時間による違いは大きく影響の程度に関係します。結果してはノイズ対策が不十分な電子機器の電流に入り込んで、電源や信号を見出して悪影響を与える恐れがあります。このようにノイズ対策は種類によって分ける必要はなく、大きさや時間によって方法が変わります。

ノイズ対策のポイント

ノイズ対策

ノイズ対策は、有線からのものと放電に対するものに分けることができます。有線とは電線や信号線といった電流が流れる接続から流れてくるノイズに対する対策です。この場合はノイズフィルターが有効と言えます。細かく発生するノイズのレベルを下げる効果が期待できますが、完全に除去することはできません。あまり効果の高いフィルターにすると信号が鈍化することで、目的が達成できない恐れが出ます。

接地を強化することで対策することもできます。アースと呼ばれるもので、簡単に言うと地面に線を繋いで0点を明確にするような対策です。電源と一緒に地面に繋がっている線に接続することで、基本となる何も流れていない状態を適正化することで対策できます。コアと呼ばれる磁性体を電線に被せることも効果が期待できます。磁性体が電流に含まれているノイズを鈍化することが可能です。

このほかにも空中から伝播する電磁波に対して、電線や機器本体の内部に入り込まないように金属の覆いをして対策するものです。シールドと呼ばれるこの方法は、古くから行われているもので、効果は実証されています。電線の被覆に施されるものや金属メッシュのカバーをするようなものがあります。あまりしっかりと密閉してしまうと、内部温度が上昇する恐れがあるので併せて注意が必要です。

ノイズ対策の効果について

ノイズ対策

ノイズ対策をするのとしないのでどれだけの違いがあるのでしょうか。例えばサージ対策のためにフィルターを設置した場合には、雷や他の機器のショートなどによって発生したノイズが、直接電子機器に影響を及ぼすことを避けることができます。これだけでも故障や不具合の発生がなくなって安心です。

信号に流れるノイズがある場合、誤動作が発生する恐れがあります。例えば3Vの信号が届いたらスイッチをオンにすると言う仕組みを作った時に、ノイズが3V程度発生してしまったら意図せずスイッチが入ることになります。これが何かの重要なシステムだったとしたら、なくても良い動作によって、トラブルが発生します。信号が微弱になればなるほどこの影響は顕著になります。ノイズ対策によってSN比を小さくできることで、このような誤動作を減らすことが可能です。信号の電流値を大きくすると、比率が下げられるので安心になりますが、その分消費電力が大きくなって便利さが低減することになります。

このようなベネフィットとリスクを比較して必要とされる根本的な設計とノイズ対策を検討する必要があります。ただしノイズ対策をしないと言うことは、このようなトラブルを全くケアしないのと同じとなり、問題が大きくなります。できる限りのノイズ対策を行って、問題ないレベルにすることが重要です。ノイズ対策は効果が評価しにくいため、コストの観点から軽視されることがありますが、万が一の時に全ての製品の回収につながるようなリスクを秘めています。可能な限りのノイズ対策を行うことで、後で発生するかもしれないリスクを軽減することを目的とした方がいいでしょう。